にきび!解体新書
ディフェリンゲルの効果
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治療薬にきびを抑える効果があるとして、2008年に認可された新薬が〝ディフェリンゲル〟と呼ばれる外用薬です。

ディフェリンゲルの発売に合わせて策定された『尋常性座瘡治療ガイドライン』(日本皮膚科学会)にも、にきび治療に効果があるとして強く推奨する医薬品に、この医薬品を挙げていますが、ディフェリンゲルとは、いったいどんな薬で、どのような効果があるのか、少しまとめておきましょう。



◎ コレだけは押える!ディフェリンゲルの効果



ディフェリンゲルとは、シオノギ製薬が販売するにきび治療薬のことで、その製造販売元はガルデルマ(本社:スイス)です。

※海外にあるガルデルマ社の工場で製造後、日本に輸入。

ディフェリンゲルが厚生労働省に認可され、医療機関で保険適用として処方されるようになったのは2008年10月以降のことなので、日本国内ではどちらかというと新しい薬品といえますが、実は海外では20年以上も前から使われ続けてきた治療薬であり、見方を変えれば、これまで世界的な標準治療薬であった現状に、ようやく日本が追いついたということもできます。

※1995年にフランスで発売されて以来、欧米を中心に世界80ヵ国以上で承認・販売され、2,000万人以上の患者さんに処方。
『ディフェリンゲル』の作用
ディフェリンゲルが、にきびに対するスタンダード治療薬として海外で広く処方されるようになったのは、薬剤の有効成分〝アダパレン〟にあります。

アダパレンには、構造式こそ異なるものの、肌の角質層の剥離を促すレチノイン酸と似た作用があることが解っています。

つまり、ディフェリンゲルを患部に直接塗ると、レチノイン酸と似た効果を発揮するアダパレンの作用によって、角化細胞の増殖が抑えられ、表皮の角質細胞が一時的に薄くなります。

※角化細胞:表皮の最下層にある基底層で細胞分裂し、形や性質を変えながら徐々に皮膚表面へと移行(基底層 → 有棘層 → 顆粒層 → 角質層)、最終的には垢となって皮膚から剥がれ落ちる細胞のこと。表皮の大部分は角化細胞で構成されています。

するとどんなことが起こるのか・・・?

毛穴を塞いでいる厚く固くなってしまった角質層が薄くなるため、皮脂が毛穴に詰まることなく外に放出されやすくなります。

そもそも、にきびは次のような仕組みでできると考えらえているので、毛穴詰まりによる皮脂溜りを解消することができれば、炎症を起こしにくくなり、結果として症状を軽くすることができるというわけです。
赤にきびができる仕組み
毛穴の入口が固くなり(皮脂や汚れ、角質などが原因)穴を塞いでしまう…
すると…
矢印
角質が異常に厚くなり、毛穴に皮脂が詰まってしまう…
結果
矢印
皮脂を栄養源にしているアクネ菌(にきびのもと)が増殖…
炎症
矢印
にきび発生
従来のにきび治療薬である硫黄系の塗り薬や飲み薬タイプの抗菌薬は、過剰な皮脂分泌の抑制や、アクネ菌の増殖・抑制効果で炎症を抑えるものが主流でしたが、ディフェリンゲルは、毛穴の入口が固くなるのを防ぎ、毛穴の外に皮脂が出やすい状態を作り出すことで炎症が起こるのを抑えることを目的としている点で、他のにきび治療薬とは少し異なるタイプの医薬品と言えるかもしれません。
ディフェリンゲル

主に毛穴の詰まりを取り除いてやることで、皮脂を外に放出しやすい状態を作り出し、炎症を抑えることを目的としている…
VS
従来の市販薬や抗菌薬

主に過剰な皮脂分泌を抑制したり、アクネ菌の増殖・抑制効果で炎症を抑えることを目的としたものが多い…




◎ ディフェリンゲルの効果が期待できる症状とは…

ひとくちに〝にきび〟と言っても、その症状は様々ですが、一般的には次の4段階に区分されることが多いようです。
症状レベル 第1段階:白にきび(毛穴の中に角質や皮脂が溜まっている状態)
第2段階:黒にきび(毛穴の先端が開き、空気に触れて酸化した皮脂などが黒ずんだもの)
第3段階:赤にきび(皮脂の詰まった皮膚腺や毛包が炎症を起こし腫れあがったもの)
第4段階:黄にきび(赤にきびがさらに悪化して化膿したもの)
では、ディフェリンゲルは、すべての段階(軽度~重症度)に対して改善効果が期待できるのか・・・とても気になるところですが、日本皮膚科学会が発表した『尋常性座瘡治療ガイドライン』によると、次のような意見が述べられています。
ざ瘡(面皰)にアダパレン外用は有効か?
アダパレンは面皰改善に効果の高い薬剤であり、毛包上皮の角化を正常化させ、新たな面皰の形成を阻害する。これにより面皰に引き続き生じてくる炎症性皮疹も予防することができる。海外での多数のRCTにより、アダパレンの外用療法が面皰数を減少させることが示されている。5つのRCTをまとめたメタアナリシスによると12週間のアダパレンゲル0.1%外用により面皰数が58.1%減少した ……(省略)…… また、日本人におけるRCTにおいてもアダパレンゲル0.1%外用の効果、副作用は海外の報告とほぼ同様であった。以上より、ざ瘡(面皰)に対して、アダパレン外用を強く推奨する。
ざ瘡(炎症性皮疹)にアダパレン外用は有効か?
アダパレンは面皰改善に効果の高い薬剤であり、毛包上皮の角化を正常化させ、新たな面皰の形成を阻害する。これにより面皰に引き続き生じてくる炎症性皮疹も予防することができる。さらに、アダパレンは直接的な抗炎症性作用を持つことが知られている。海外での多数のRCTにより、アダパレンの外用療法炎症性皮疹を減少させることが示されている。5つのRCTをまとめたメタアナリシスによると12週間のアダパレンゲル0.1%外用により炎症性皮疹数が52.3%減少した …(省略)… また、日本人におけるRCTにおいてもアダパレンゲル0.1%外用の効果、副作用は海外の報告とほぼ同様であった。以上より、炎症性皮疹(軽症から重症)に対して、アダパレン外用を強く推奨する。
したがって、ディフェリンゲルは、基本的にすべての症状に対して改善効果(ただし、既に大きく腫れあがってしまったにきびを直接治す作用はない)が期待できる外用薬として推奨されている処方せん医薬品ですが、有効成分アダパレンは、どちらかというと面皰改善に高い効果が期待できる薬剤なので、微小面皰(肉眼ではほぼ見えない小さな毛穴詰まり)や白にきび、黒にきびと呼ばれる、比較的、軽度症状に適していると考えられているようです。

ディフェリンゲルの特徴※ガイドラインによると、基本的には、にきびの初期段階にディフェリンゲルを使用し、軽症から中等症には、ディフェリンゲルと抗菌薬外用(塗り薬)の併用、中等症から重症には、ディフェリンゲルと抗菌薬内服(飲み薬)の併用を推奨しているようです。

なお、にきびの中でも症状が重い結節性にきび(炎症が皮膚の深いところまで広がってしまった状)や嚢胞性にきび(膿が袋状に溜まっている状態)と呼ばれる重症例に至っては、ディフェリンゲルが適さないケースもあるようなので、場合によっては他の処置を検討する必要性が出てきます。